しのだひろえの歩っとタイム Vol.85
止まるか進むか、それが問題だ!~山手線一周ウォーク8~
自分に気合を入れて出発!
前回、新宿でリフレッシュしたものの「あと、半周もあるのか・・」という気持ちがないでもない。ここまでは陽も高かったし気持ちも高くいられたけれど、ここからは風もでてきて陽も沈んでいく時間、気持ちも萎えそうだ。
そんな自分に気合を入れて出発!新宿駅のサザンテラスから地下道を通り抜けて西口へ。地上に出て、旧青梅街道と思い出横丁を横目にみながら新大久保へ向かって歩く。
新大久保駅までの線路沿いは、正直なにという見ものもなく淡々とした足取りで進んでいく。途中に江戸文化を描いたトンネルがあったり意外なアートを見つけたり…詳しいことはこちらのコラムも読んでほしい。
疲れたでてきた新大久保
「あ、新大久保エリアに入ったな」
店の看板なのか匂いなのか音なのか、とにかく街の空気感が変わる。アジア系の飲食店やなんと書いてあるのか分からない文字が並び、どこかアジアの国に来たような異国感がぷんぷんする。まだ駅は見えないが、もう新大久保駅が近いことも人の流れから分かる。
ふだんあまり新大久保近辺に足を踏み入れることはない。仕事でもプライベートでも用事がないのだ。だから見慣れない街の様子に、ついキョロキョロしては人にぶつからないように歩くのだが、何屋さんか分からない店などは立ち寄りたくもなる。きっとここに足を踏み入れたら、また新しい発見があるのだろうが、私には山手線一周というミッションがある!今日のところはちら見スルーして、高田馬場に向かってずんずん歩いていく。
実はここで歩みをとめたら歩く気力が萎えてしまいそうだったから、というのもある。足をだし続けていれば慣性の法則のごとく、とにかく前に進んでいける。逆にすこしでも足を止めたら、歩きだすまでに「いくぞ!」という気合が必要そう、そんな状態だったからだ。
そう、ちょいと疲れてきているのだ。
あぁ・・ちょっと萎えてきた(本音)
新大久保駅をぬけて高田馬場の手前でちょいと長めの休憩をとることにした。実はひざに痛みがでてきているからだ。
がまんしちゃうんだよね、いけるところまで行こうと思っちゃうんだよね。自分なら大丈夫って思っちゃうんだよね。
テーピングをゆっくりしながら、この先も続く山手線の道のりへの不安と、線路沿いにあるおいしいお店やお楽しみをてんびんにかけながら「最後までいけるかなぁ」「どこまでいけるかなぁ」「いつリタイヤしようかなぁ」とひとりで格闘する。
この先を考えながらほおばるチョコやナッツのおやつは、心の救いだ。東京駅まであとなん駅あるんだっけ?
あきらめるのも戦略のひとつ
山手線一周のような耐久レースは、忍耐力や精神力も鍛えるしそれはそれで必要なのだけれど、「そんなにあえて自分を苦しめなくても良くない?」ということもある。
ケガもなく痛みもなければ、いいチャレンジなのだが、痛みをがまんしてまで続ける必要があるのか。
がまんして進むのが自分との闘いといえばそうなのだが、この後足に痛みがのこったらどうなるのか…と、頭の中は堂々めぐりの大葛藤だ。
今までの人生でも頑張ってきたじゃないか。ここであきらめたら、この先もあきらめ癖がつくのではないか・・など、もはや「それとこれとを一緒にしなくてもいいのでは」という壮大な人生のあり方にまで話題がおよぶ。
あきらめというとうしろ向きな響きがあるから、やめるかやめないかということでいえば、本当は、やめてもやめなくてもいいんだよね。自分がよければ。周りの目を気にしてやめられないとしたら、それが一番やめた方がいいことで、本当は好きにすればいいんだよね、きっと。