しのだひろえの歩っとタイム Vol.97
すべてが魅力だしすべてを楽しんじゃおう!多摩川スカイブリッジ歩き3
前回から続いて、多摩川スカイブリッジを歩くシリーズの3回目である。
まぁなんだったら、この六郷橋から多摩スカイブリッジまでの道のりはおおよそ予想がつく。多摩川沿いに歩くんだから、左手には多摩川が、目の前に空が、右手にはきっと住宅や工場やよく見る風景だろう。
・・・なんて思い込みを持って歩くのはもったいない。これが多摩スカイブリッジまでの道のりでなくて、ふだんの道のりだったとしたらもっともったいない。同じ景色に見えるのも同じ風景に見えるのもなんならなんの面白みもないと思うのも、自分次第だ。誰が悪いわけでもなく自分が面白味を見つける目をもっていないだけのことなんだよ。
そう自分に問いながら、多摩川沿いを歩き始めた。
海まで5キロ
六郷橋から多摩川スカイブリッジまでの地図はさっぱりしたもので、しばらくはほぼ迷いようのない多摩川沿いが続く。ただただ広い多摩川と向こう岸の景色を長めながら歩いていると、ちょっとした標識や案内板も気になってつい読んでしまうもの。あと5キロなんて言われると、がぜんやる気がでちゃうな。
目の前に少し変わった建物が見えてきた。日本の建物ではないようだが、これは何?
思いがけない歴史を知る
これは「川崎河港水門」(かわさきかこうすいもん)といい国登録有名文化財である。第一次世界大戦による好景気のなかで、川崎市は足りなくなった工場地の拡大を図る運河・港湾計画を立てたものの、戦況の悪化や予定敷地内に住宅や工場が建てられたこともあり昭和18年(1943年)に廃止されたという歴史がある。その運河・港湾計画の一環として大正15年(1926年)11月に着工、昭和3年(1928年)3月に完成したのがこの水門だ。2本のタワーとそれをつなぐ梁、ゲートによって構成されており、写真にある頭の上のオブジェは、当時の川崎名産のブドウ・梨・桃をあしらったものだというから今からすれば驚きだ。川崎がフルーツの街だったなんて想像もつかない。写真でみるよりも、実物はもっと大きく存在感がある。
多摩川ののどかな雰囲気が、この水門近辺ではピリリと引き締まっているように感じるのは、あまりに建物の雰囲気が風景とかけ離れているからだろうか。この水門の前をチャリンチャリンとママチャリで走るおじさんの姿が、現実世界と水門との隔たりをより際立たせている。私に言わせるとこの水門だけ時間がとまっているようなのだ。
そしてずいぶん寂しげだ。
ここも水門!?
川崎河港水門をあとにして歩いているとまた小さな水門が。ちび水門、かわいいぞ!よく見ると「味の素樋管」の文字。樋管とはネットによると堤防の中をトンネルのように通り抜けるものをいうのだそうだ。確かに味の素樋管の堤防上はコンクリートの道になっている。水門は堤防を完全分断しているそうで、なるほど~またひとつ賢くなった。
さて、ここまで思いがけず水門にめぐりあったのだが、ここから先はどんな面白いことが待っているのかな~。