しのだひろえの歩っとタイム Vol.87
懐かしき昭和の風景に合う池袋~山手線一周ウォーク10~
TOKYO迷走駅トップ3へ
池袋といえば山手線の中でも乗降数の多い駅で、東京メトロや東武鉄道、西武鉄道の乗り入れもあり、正直言って地下通路は新宿以上に迷路化している。
私にとってはJR新宿駅、JR池袋駅、近年台頭してきたJR渋谷駅を加えた3駅がTOKYO迷路化による迷走駅トップ3で、歳を重ねるとますます分からなくなりそうでならない。かつてはJR東京駅も迷走駅のひとつだったが、渋谷や池袋に比べれば、だいぶスッキリしているのではないだろうか。
新宿駅は、都庁や西新宿まで地下通路が続いているから、その規模間が迷走を促しているのかも。迷走度の高さは人それぞれだろうが、とにかく地下通路では迷走しやすい。
昭和へタイムスリップ
さて前置きが長くなったが、ただいま目白から池袋に向かって歩いているわけで、山手線一周の中でも池袋はターニングポイントだから、がぜん気合がはいる。ここを越えれば、山ひとつ超えた感があって達成感を味わえるのだ。
目白駅をすぎてすぐの線路沿いは、細い道ながら人通りも多く個人店も立ち並び、それなりににぎわっている。さすが池袋へ続く道だ、と思ったもののそのまま歩いて行くと少しづつ人通りも変わり、閑静な住宅街にはいり街の雰囲気がずいぶん変わってくる。
池袋というとわいわいと人が集まる街というイメージがあったから「こんなに静かな住宅街があるのか」と驚くほどで、途中の自由学園あたりは鳥の鳴き声や風の音がするくらい静かなのだ。
以前の歩っとタイムでもご紹介したレンガの「止まれ」。はこのあたり。シャレてる。
昭和へタイムスリップ
住宅街から細い道をちょいちょいと曲がりながら街を見渡すと、昭和を感じさせる家々が残り、ちょっとノスタルジックな気分になる。ツタのつたう木造アパートや柿の木が枝を伸ばしているアパートの庭など。あと1分で池袋駅という場所に、だ。
庭の木々だけを撮影させて頂いたが、この街の佇まいはぜひ自分で足を運び体感してほしいものだ。
昭和ノスタルジックな家々から道を一本渡れば、ザ・池袋の風景に。大都市・池袋に到着
だ。
歴史を重ねたからこその味わい
例えば海外では、アクセサリーでも住宅でも中古・・というと言葉の響きは良くないが歴史のある“アンティーク”に高い価値がつくことがあるという。日本では新築・築浅が重宝され、とにかく新しいものがもてはやされやすく、中古物件や古民家も人気とはいえ、まだまだ新しいものを求める風潮が強いのではないだろうか。
確かに、赤の他人が暮らした手あかのついたものではなく新品がほしい、というのは私もわかる。
ただ最近は心境にも変化がでてきて、今回のような昭和レトロな物件を街を歩きながら見かけた時、昔は「見るのはいいけど住むのはごめん」といった感じだったが、今は「こういう築古の住まいもいいかも」と思うようになった。きっと不便なことが多くなるのだろうが、なんでも便利でバリアフリーで自動化された中で生きていたら、本来の人間の機能が衰えてしまいそうでもあるし。まっさらではない歴史を重ねたからこその味わいというのは新参者にはだせない味なのだ。