しのだひろえの歩っとタイム Vol.79
レトロな街のうつりかわりを見届ける~山手線一周ウォーク2~
ふと気がつくと東京の街は桜でいっぱいだ。大通りや川沿い、ちょっとした駅のすき間のような場所や「こんなところに桜があったのか」と春になって初めて知る場所は多い。十年前よりもぐっと桜の花を見かけるようになったと感じるのは私だけだろうか。この季節に山手線一周したら、満開の桜がもっと歩っとタイムを楽しいものにしてくれるだろうなぁ。
スタイリッシュな汐留を通り抜ける
さて前回に引き続き山手線を一周歩いていこう。
本日は新橋からスタートだ。
前回の東京~新橋ルートとはまた違い、ここからはスタイリッシュで都会的な街なみが続く。え?新橋もサラリーマンの街と言われるほどの居酒屋の多い街では?と思うかもしれない。確かに山手線の内側はその雰囲気があるのだが、今回めぐる山手線外周はすこし佇まいが変わってくる。いわゆる「汐留」である。
どうだろう、夜の写真にはなるが、ぐっと汐留の雰囲気が伝わるのではないだろうか。
汐留を歩きながら、カレッタ汐留(旧電通本社ビル)やザロイヤルパークホテルアイコニック東京汐留、日本テレビタワーなどの超高層ビルを見上げると「東京にはこんなに人がいるんだ」「このビルどうやって建てたの?」と不思議な気分にさえなるものだ。
浜松町へは、この汐留を通り抜けるわけだが、どこもかしこも整備されているから目印がなくて迷いそう。
そうそう、日本テレビタワーにある宮崎駿デザインの日テレ大時計は見ておきたい。近代的なビルに突如現れるジブリの世界!
ここも、変わる。浜松町
あなたは浜松町にどんなイメージをもつだろうか。私は昭和から続くビジネスの街というイメージをもっている。赤ちょうちんのある居酒屋や立ち食いそば屋さんなど多忙なサラリーマンのための店も多いからだ。
しかし、そんなビジネスの街も変わりつつある。例えば浜松町のトレードマークでもあった世界貿易センタービルは2027年3月完成予定で建て替え中。至近にある世界貿易センタービル南館は設えも上品でデザイン性も高いが、とても近代的だ。かつての世界貿易センタービルの重厚感のあるつくりとはまた違う。
モノレールの浜松町駅も2029年をめどに改築予定だというから、他の街と同じく、浜松町も変わっていくものなのだろう。どの街も近代的だけれど似た建物ばかりになりそうで、寂しいようなもったいないような見分けがつかないような、そんな気持ちになるのはなぜだろう。
レトロさを感じる浜松町駅
今だからこそ見れる景色かもしれない。
気がつけばレトロな街はどんどん近代的な街に移り変わっていく。今はちょうどその端境期(はざかいき)なのかもしれない。おもしろいことに、山手線の内側と外側では街の景色や見え方も違うもので、赤ちょうちんの下でわいわいがやがやと人々が集う場所もあれば、クールで無機質な超高層ビルが立ち並ぶ場所もある。
そういう街の違いや変化は、今だから見えるし分かる。だから、ふと足を止めて自分の周りの景色を眺め記憶にとどめたり、街を歩いて今この瞬間の街並みを楽しもう。三か月、半年先には、「前、ここに何があったのだろう」と思うくらいガラリと街は変わるのだから。