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猫ちゃん
しのだひろえの歩っとタイム Vol.112

東京への玄関口・上野を歩く~2022秋の銀座線散歩12~

「上野発の夜行列車 おりたときから~♪」このフレーズで石川さゆりの歌声が脳内で再生された人はおそらく昭和生まれだろう。テレビ番組や車の中で何度も再生されたこの津軽海峡冬景色は、当時子供でさほど歌に興味のなかった私でさえ知らずしらずに歌えるようになった演歌のひとつである。

「あおもり~えきは 雪の中♪」と続くのだが、まさに上野駅は雪国から上京する際の玄関口であり、テレビの中にみるアメ横や上野公園は東京という大都市がいかに発展し素晴らしい街なのかを地方で暮らすの人々に印象づけたのではないか。

私自身、初めて自分で稼いだお金で長野から目指した駅は上野駅であり、アメ横の人の多さと高いビル群、駅の大きさに田舎者ならではの心細さを感じたものだ。

広小路か御徒町か

上野広小路駅の写真

東京に住んでもう数十年になるが、上野広小路駅と上野御徒町駅、仲御徒町駅と御徒町駅、新御徒町駅がごっちゃになってしまうのは今でも同じで、どの路線がどの駅かぱぱっと浮かんでこない。銀座線の駅は上野広小路駅で、もう目の前には上野恩寵公園が見えるような場所だ。

プリンの写真

駅を中心に360度見渡せば、松坂屋上野店や老舗の和菓子屋、上京した時からある商業ビルや看板と、この街の佇まいは今も変わらず懐かしさを感じさせてくれる。そうそう、松坂屋上野店にあるカフェでは昔ながらのかためプリンが食べられるから足を運んでみてはいかがだろうか。上京したてのころの田舎者の私にはあまりに敷居が高くて足を踏み入れることのできなかった松坂屋上野店だが、今はふらりと立ち寄ることができるからこそみつけたカフェだ。

さて、結局甘いものに目がないことをアピールしたところで、上野広小路駅からの雑踏を楽しみながら上野駅まで歩くとする。

リニューアルした上野駅へ

銀座線上野駅の写真

銀座線上野駅の地下は広くて大きいから、初めて下りる人にしたら複雑で分かりにくいと感じるかもしれないが、それでもリニューアル前の駅に比べればずいぶん分かりやすくなったし、何より明るくなったしシャレたデザインになったと私は思っている。

ステンドグラスの写真

今どきのデザインでシャレた銀座線上野駅と、昭和ノスタルジーを感じさせる上野という街のギャップを感じられるのはきっと今だけで、これからきっと上野界隈も再開発が進み、いつしかすっかり近代的にキレイに整えられていくことだろう。新旧がごちゃまぜになったこの中途半端感を見られるのは、今生きる私たちにしかない楽しみだ。

ステンドグラスによるアートな演出は、銀座線銀座駅にもある。

想い出の駅を歩いて

銀座線の歴史をひもとけば「1927(昭和2)年、浅草~上野間2.2km」が日本で最初の地下鉄であり、この上野駅はまさに日本の地下鉄の歴史の第一歩となった駅である。

東北に向かう始発駅であったJR上野駅、地下鉄の歴史のスタートとなった銀座線上野駅。いずれにしてもこの上野の街は多くの人々を送り、迎え、人の流れをつくり、日本の経済をつくっていった駅と言え、その存在はより大きく感じられるものだ。

新宿、渋谷、東京駅とターミナル駅はいくつもあれど、やっぱり上野駅は初心を思い出させてくれるんだな。若かりし頃に見た上野の雑踏、景色、あやしい募金にひっかかったこと・・・個人的にも色々な思い出が駅にしみこんでいる。

きっとあなたにも想い出の駅があり景色があるはず。ふらっと想い出の駅を歩きに出かけてはどうだろうか。

さて、ゴールの浅草まであと3駅!見どころたっぷり楽しみながら次の駅に向かってレッツウォーク!

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