1. HOME
  2. しのだひろえの歩っとタイム
  3. 温故知新の神田・末広町~2022秋の銀座線散歩11~
猫ちゃん
しのだひろえの歩っとタイム Vol.111

温故知新の神田・末広町~2022秋の銀座線散歩11~

1927(昭和2)年に浅草~上野間2.2キロが開通したのが、日本最初の地下鉄である銀座線の歴史の始まりである。
メトロアーカイブアルバムによれば、その後路線は順次延び、1934(昭和9)年に銀座~新橋間が開業したことにより浅草~新橋間8.0キロが完成し、やがて新橋~渋谷間6.3キロとをつなぎ1939(昭和14)年に浅草~渋谷間の相互直通運転が開始されたそうだ。

たった12年で今の銀座線の原形ができたと思うと時代の勢いと技術力の高さ、関わる人々の熱量を感じる。きっとこの12年間には様々なストーリーがあったんだろう、誰かドラマ化してくれないかな。

歴史ある万世橋へ

さて今日は神田から末広町を歩く。この間には万世橋がかかっていて、ここは森鴎外が歩いた道でもあるし、万世橋駅という鉄道の駅があった場所でもある。
万世橋駅は1912 (明治45)年に初代駅舎が完成。関東大震災で焼失したものの、1925(大正14)年に2代目駅舎が完成し東京市電のターミナル駅としてもさかえたそうだ。しかし1943(昭和18)年に、乗降客減少に伴い、万世橋駅は休止に。当時は多くの人が行き交うにぎやかな場所だったのだろう。地下鉄と旧鉄道のクロスポイントでもあり、かたやその跡がひっそり残っているという意味では新橋も同じだ。

エキュートmAAchの写真

さて、当時のにぎわいを再びとばかりに駅舎を利用してエキュートmAAchという商業施設ができたのは、歴史や文化を未来につなげてくれる「温故知新」といった感じでいい取り組みだと私は思う。

神田川の写真

どこもかしこも再開発で、どこもかしこも新しくて小ぎれいで近代的なだけでは、どの街を歩いても同じだから、変わらない風景には本当にほっとする。

感性を磨くあの場所へ

3331 Arts Chiyodaの写真

万世橋をすぎたあたりから人通りも街の様子も変化してくる。秋葉原駅があるからだ。秋葉原駅はJRだから銀座線ではないのだが、あまりに近いために立ち並ぶ店々からは秋葉原“感“が漏れ伝わってくる。一気に街の雰囲気が変わり、末広町に近づくにつれてまた街が変わるのが良く分かる。透明な壁でもあるかのように街の雰囲気が違うのは、まるで通り雨か嵐に一瞬あったかのようだといつも考えている。ちなみに差がハッキリしていることで、それぞれの魅力がよりハッキリするというのはいいことだろう。
さて末広町には、お気に入りの場所がある。3331 Arts Chiyodaである。

3331 Arts Chiyodaの写真2

旧千代田区立練成中学校を改修した開かれた場所で、目の前は静かな公園。白い階段をあがり館内にはいると右手にはカフェ、左手には誰もが使えるフリースペース。黒板と木の椅子、なんて懐かしく開放的な教室なんだ!

3331 Arts Chiyodaの写真3

作家さんのアート作品や地方の広報誌など、アートでアカデミックな雰囲気がゆったりさせてくれ心地よい。

3331 Arts Chiyodaの写真4

池尻大橋にある、世田谷区立池尻中学校の旧校舎とも通じるすべての人に開かれた学びの場所だと思うが、池尻中学校の旧校舎は取り壊しが決まっているはずだから、この3331 Arts Chiyodaには私も今後ふらっと足を運ぶことになりそうだ。

街めぐりをして楽しんだあとは末広町駅をパチリと写真におさめて任務完了。

温故知新

旧万世橋駅を活用したエキュートmAAch、旧千代田区立練成中学校を活用した3331 Arts Chiyodaという、それぞれ過去に生きた人々のストーリーが残る場所に立ち寄れるのが神田・末広町というエリアだった。それぞれの建物には、真新しい建物にはない傷もシミもあるがこれが味わいになり懐かしさといつまでも変わらない安心感を与えてくれる。人が集まり人が心を向けるからこそ建物が息を吹き返した例だろう。当時のストーリーに、今を生きる私たちのストーリーが重ねられ未来に引き継がれるなんて、素敵じゃない。

銀座線散歩もいよいよあと5駅でゴール。さぁゴールにむけてレッツウォーク!

<出典>

ページトップ