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猫ちゃん
しのだひろえの歩っとタイム Vol.110

残り6駅!そろそろここでホッとタイム~2022秋の銀座線散歩10~

「東京ふつうの喫茶店」という泉麻人さんの本が好きで、暇があるとペラペラめくって楽しんでいる。帯には“おじさんもホッとくつろげる56軒”とあり、思い思いに楽しみゆったり時間をすごす人々と喫茶店の様子が目に浮かぶようだ。まるで自分がマスターと話している錯覚にも陥るし、“おじさんもホッとくつろげる喫茶店“を、疑似体験させてくれる。

さて、この本の最初に登場するのが神田須田町の純喫茶で今は閉店しているが、それでもその後はどうなっているのかと足を運んでみたことがある。そんな思い出の神田の街にむけて、三越前駅から歩くとする。

地下を通り抜けると、昭和の面影

三越前駅の地下通路の写真

三越前駅の地下通路はしゃれていて、いつもより背筋を伸ばして歩くのが様になる。歴史を生かしたつくりは、きっと海外旅行客にも好評だろう。

三越前駅の改札を通り抜け、JR新日本橋駅につながる一本線をたんたんと歩いていくと、いつの間にか昭和にタイムスリップしたようなざらざらした壁の質感と埃っぽさのある地下通路となる。

さっきまでは、高級住宅街かホテルのロビーのような設えだったのに。

ただ、近代的で計算し尽くされた空間は、快適だけれどどこかちゃんとした人間でないと肩身がせまい気もして、ざらっと洗いざらしのような空間は、そんな人間も受け入れてくれそうでホッとするのも正直なところだ。

地下通路の写真

神田駅はJR新日本橋とは反対の出口なので、T字路を左に曲がり階段をあがっていく。階段手前の薄暗いどんつき、そして“地下“のフォントに味わいを感じる。

細かいことにこだわらない図太さ

神田駅の写真

地上にあがり神田駅を目指す。神田駅は銀座線とJRがあるから乗換駅として自然ににぎわいもあり、のんべぇのための庶民的な名店もある街だ。
三越前駅から歩くとのんべぇ通りは歩かないから、神田の昼の顔をみて通りすぎることにはなるが、それでも神田駅周辺の細かいことにこだわらない図太い感じ…と勝手に私は思っているのだが…店構えや行き交う人々からどことなく伝わってくるようだ。

少し寄り道するが、この神田で私が好きな店といえば中華料理の味坊さんだ。山手線一周をした時に教えてもらった店で、その後実際にいくどか足を運び、おいしい料理と酒と会話で、楽しい記憶しかない。ここも庶民的でざっくばらん。そんな神田が私にとっては魅力だ。

ここまでよくがんばった!

渋谷から神田まで13駅、残り6駅!ここまでよく頑張ったなぁ。スピードも落ちてきたし、このあたりで休憩し体力気力を回復してのこり6駅を歩き切ろうじゃないか。この季節にしては太陽がやる気まんまんな日だから、珍しくアイスコーヒーのLサイズなんて選んで、ガラス越しに行き交う人をながめて歩っとタイムを過ごそう。店は、休日のわりに人けのないチェーン店。コーヒーを入れる音とカップのぶつかる音と店員の小声が聞こえる程度で、ここまで歩いた私を癒してくれる“ホッとくつろげる喫茶店”だった。さてゴールも見えてきた!末広町、上野御徒町にむかってレッツウォーク!

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