しのだひろえの歩っとタイム Vol.94
楽しさを喜びをみずから見いだしていくきっかけに~山手線一周の振り返り~
さて、先週まで約4カ月にわたってレポートした山手線一周連載はお読みいただけただろうか。あの連載を読んで実際に歩いてくれる人が一人でもいてくれること、一周とは言わずともひと駅ふた駅でも、あるいは何回かに分けてでも歩こうと思う人がいればいいなと願い書いてきた。
本日はこれまでのコラムで紹介できなかった私のアンテナにピンときた写真を紹介しながら話を進めていこう。
最近はなかなか見つけられない公衆電話。110、119はコインなしでOK。公衆電話のかけ方を知らない子どもいるとかいないとか。時代の移り変わりを感じる。
こういうチャレンジをする時に良く言われることがある。それは「そんなに歩いていたらつまらなそう」「何がおもしろくてそんなに歩き続けられるの」というもの。総じて歩くのはつまらないから、そのつまらない時間が長く続くのは耐えられそうもないというものだ。もちろん身体的・体力的な不安もあるだろう。
「女王蜂」の落書きは西日暮里の手前にて。「女」の文字は、意気揚々と歩いているように見える。なぜこの文字なのか。「蜂」はスマホ変換しないとすぐに書けない。
この歩っとタイムでも、歩く楽しみ方やまちを新しい視点で楽しむ歩き方をお届けしているが、日常に楽しみと面白さと笑いと喜びを自ら見つけていくことは人間にだけがもつ権利だ。(たぶん)
歩くなんていう当たり前のことから、何か新しい発見や喜びを得られるとしたら、お金もかからず手間もかからずなんてお得なのかと思うが、歩くことを移動手段のひとつだとしか捉えないとしたら、確かにつまらない。
開運狸は新橋駅。クリスマスシーズンでサンタの帽子をかぶらされているが、頭より大きい帽子はもはや荷物のよう。こういうちょっとした遊び心にはほっとさせられる。
いや、歩くことでなくても、自分が楽しく面白く思わず笑顔になり、喜べるようなことが他にあるのならいいのだ。他の何かに誰かにそれを求めていないならそれでいいのだ。
いつでもどこでもトンネルというのは異世界とつながっているような特別な存在である。午前中にしてこの魔界感。
山手線一周は、思いがけない喜びが歩くという日常にあることを教えてくれる。歩くことにもともと興味があった人にはもちろんのこと、歩くことの何が面白いの?という人にも発見があることだろう。
- 電車から見える風景が歩くとこんな風に見えるんだ
- 〇〇駅と△△駅って歩くと近いんだ
- 街の風景が全然違うね
なんていうものから
- そういえば昔、この街に仕事できたことがあったな
- 車で来たから分からなかったけど、このお店はここにあったのか
というものまで。
ひとりひとりの過去の経験と体験とも結びつけば、なおさらその人ならではの楽しい発見となる。
駒込駅手前のコンビニで。災害時用に長期保管可能な食品や缶詰などを広く扱うなど、店主の防災への心意気が伝わってくる。一遍通りでないこういう取り組みが地域の安全や安心につながるもの。感謝!
日常的な風景の中に喜びを見いだすこともいいし、山手線一周という日常の当たり前のことからチャレンジできることをしてみてもいい。もちろん歩くことからチャレンジできることはまだまだある。そのチャレンジをこの歩っとタイムで私もお見せしていこうではないか!