1. HOME
  2. しのだひろえの歩っとタイム
  3. 時代を行き来しているような錯覚~区役所アート・豊島区編~
猫ちゃん
しのだひろえの歩っとタイム Vol.57

時代を行き来しているような錯覚~区役所アート・豊島区編~

私が足を運んだ時、そこはアニメキャラクターのコスプレをした若者でにぎわっていて、目の色も髪の色も洋服の色も赤青黄色と、誰もが三次元の主人公になりきっている。どこからどうみても私の方が場違いで、ジェネレーションギャップを感じた場所、それこそ池袋だ。

存在がアート、仕組みは最新

冒頭の話は池袋のサンシャインシティを歩いていた時のことだが、原宿や渋谷に比べても池袋はファンキーさが一段と際立っている、と私は思う。
2000年(平成12年)に放映され一大ブームになった池袋ウェストゲートパーク(通称:I.W.G.P)の印象が強いからというのもある。原作は直木賞作家でもある石田衣良、脚本は宮藤官九郎、通称くどかん。主演は長瀬智也、出演者も今となっては豪華な顔ぶれで今は有名な俳優たちの若いころの活躍を見れるという意味でも、このドラマは人気である。

豊島区の区役所アートの写真

さて、前置きが長くなったが、こんな池袋を従える区が豊島区である。豊島区の区役所アートはこちら。区役所そのものである。

ここには他の区にあるようなオブジェやアートは、ない。ただこの区役所自体が近代的で美しい、というのはある。そして屋上には「豊島の森」という庭園もある。

とても区役所とは思えない緑と光でできた美しいビルだが、これが最新型なのである。どう最新型かというと、このビルは住居としての超高層マンションと役所が一体になった「としまエコミューゼタウン」というビルだからだ。区役所と同じビルの中に、住める!?というわけで、これは驚きだ。

「IKEBUS」(イケバス)の写真

「としまエコミューゼタウン」の前を通る区内循環の赤い「IKEBUS」(イケバス)。

池袋に牧場があった!?

池袋の森の写真

豊島区には申し訳ないのだが、池袋という街にはささくれだった印象があった。(豊島区さん、ごめんなさい)しかしいざ池袋を散策してみると意外な景色に出会うことできた。あれ?ここも池袋?

ここは「池袋の森」という。

池袋の森の写真2

1907年(昭和40年)に島田善吉氏が島田牧場をこの地で創業し1928年(昭和3年)まで経営をしていたそうだ。その後、豊島区によって公園として整備され1997年(平成9年)に「池袋の森」として開園。

池袋の森の写真3

今も大きなビワやスギ、イチョウが大きく高くのび、うっそうとした森として残っている。

広さはそれほど大きくはないが、ここに牧場があったというのがまず驚きだし、多くの公園が防災公園として整備される中で貴重な存在だ。

イケ・サンパークの写真

ちなみに池袋の防災公園といえばイケ・サンパーク。区内最大の防災公園でふだんは子ども連れの家族をはじめ人々が楽しく集う場になっているが、非常時は一時避難所としての機能やヘリポート機能などの側面をもち、防災機能がしっかり用意されている。

嗅覚や皮膚で感じる時代

池袋を中心にしてきたが、雑司ヶ谷や鬼子母神、板橋区との境界線にある商店街の街並みはまるで昭和そのままといった印象だ。高層ビルと昔ながらのトタン屋根のコントラスト、飛ぶように走る車たちと線路に生える青々しい雑草、原色のコスプレ集団とひとっこひとりいないかのように静まり返った住宅街。この街のギャップは歩いているだけで時代を行き来しているような錯覚を起こさせる。

こういう体験はネットではできない。時代を感じるというのは街を歩いてこそ感じる感覚であり写真では不十分だ。嗅覚や皮膚で感じているのかもしれない。歩いて感じるこの感覚の違いは、人にも感じることがある。こういう感覚が何の役に立つかは分からないが、動物的な感覚を呼び覚ましてくれているのかもしれない。

<出典>

ページトップ