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猫ちゃん
しのだひろえの歩っとタイム Vol.51

存在そのものがアート!~区役所アート・目黒区編~

東京にはいたるところにアートがあるものだが、身近な区役所にあるオブジェやアート作品も見逃せない。特にこの目黒区役所は手続き以外でも立ち寄りたくなる場所である。

まるで美術館、区役所そのものがアート空間

目黒区役所の写真

近代的というよりも、アンティークのような佇まいと魅力があるのが目黒区役所である。

目黒区役所(目黒区総合庁舎)は、かつて千代田生命保険相互会社の本社ビルであった。建築家・村野藤吾氏(1891~1984年:明治24~昭和59年)の代表作のひとつとして知られている。
区役所内のいたるところに建築家や美術家・関わった職人たちの技をみることができ、その存在自体がアートといっていい区役所アートである。

例えば4つのユニットからI型を組み立てそれをいくつも組み合わせて造られた外観。並列の美しさがありながら、区役所の中ではこのユニットから入る光のおかげで、まるで美術館にいるかのような美しい光の廊下ができあがる。このシンプルなユニットと自然の組み合わせによってただの廊下まで美術品になるのである。

目黒区役所の写真2

屋上には庭があり、そのユニットをじっくり眺めることができる。

美しさは至るところに。

目黒区役所の写真3

目黒区の区役所アートはまだまだある。
一階からのこの眺め。そう、ここには中庭池があるのだ。また廊下を進めば、和室まである。

目黒区役所の写真4

そしてこの目黒区役所のメインといってよい区役所アートがこちら。村野藤吾氏による美しいらせん階段である。

区役所2階から4階に向かって、美しい曲線でできたこの階段こそ「階段の魔術師」と言われた村野藤吾氏の代表作であり、しかも誰もが歩くことができる作品である。

目黒区役所の写真5

実際に歩くとその曲線の美しさだけではなく照明の印影やアクリルの壁から透けて見える次のステップなど、ここを一歩一歩あがっていくその目線までも考えて設計されているプロフェッショナルの技に感動を覚える。この階段をあがる一瞬一瞬がすべて美しく特別な時間になるようだ。
美しいデザイン、時代を超え多くの人の心に響く作品にこんなに身近にふれることができるとは。

存在そのものがアート!自分そのものがアート

目黒区役所が教えてくれたこと、それは

  • 存在そのものがアートである
  • 本当に美しい作品には、何にもまねできない力と魅力がある

ということ。

細部を見れば見るほど、その魅力に引き込まれる。どこかにありそうで、どこにもない。
どんなにまねしようと思ってもできない。
それは、その人の知識や経験、生きてきた知恵の集合体であり、その人だからできるオリジナルだからなのかもしれない。
このようなアート作品を生み出すことは誰にでもできることではないが、自分という存在そのものは、自由につくりあげられる最も身近なアートだともいえるのではないか。

もっともっと個性的であっていいし、もっと自分を極めていい。そうやってオリジナルを磨き自分自身をアート作品にしていこうじゃないか。じぶん、そのものがアート、なのだ。

<出典>

  • 目黒区役所総合庁舎 村野藤吾の建築意匠 編集:目黒区総務部総務課(2015年3月発行)

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