しのだひろえの歩っとタイム Vol.26
楽しみは自分で見つけ、育てる~東京・銀座裏道さんぽ①~
銀座とマクドナルドとスターバックスコーヒー
日本マクドナルド、スターバックスコーヒー、この企業と東京・銀座の関係を知っているだろうか。答えは「日本第1号店を銀座にオープンしている」ということ。
それぞれの公式ホームページによれば、日本マクドナルドは1971年7月20日に銀座三越一階に、スターバックスコーヒーは1996年8月銀座松屋通り店をそれぞれオープンしている。
今や全国規模で展開している日本マクドナルドやスターバックスコーヒー。その日本でのスタートに東京・銀座は選ばれたのだ。そう考えると銀座は新しい文化に敏感な感度の高い人々が好む場所なのかもしれない。
今やブランド店も軒を連ねる銀座を、すこしマニアックな視点でさんぽすることにしよう。
史跡「江戸歌舞伎発祥の地」
銀座さんぽといえば、銀座三越、松屋銀座、和光などが立ち並ぶ銀座四丁目を思い出す人も多いはずだ。しかし今日は華やかな銀座とは違う一面を見ていきたい。そう思い京橋からスタートする。首都高速道路の高架下は、銀座と京橋のちょうどはざまである。
ここにあるのが、史跡「江戸歌舞伎発祥の地」。中央区観光情報センターサイトによれば「江戸で初めて歌舞伎のやぐらが上げられた場所。江戸歌舞伎は寛永元年(1624)に猿若座(後の中村座)の猿若勘三郎(初代中村勘三郎)が中橋南地で櫓をあげたのがはじまりです。(原文まま)」とある。江戸歌舞伎といえば東銀座の歌舞伎座を思い浮かべるが、銀座と京橋のはざまにあるこの場所に発祥の地があるというのはおもしろい。知る人ぞ知る石碑といえるかもしれない。
大根が集まる場所だった!?
史跡「江戸歌舞伎発祥の地」の横には「京橋大根河岸青物市場跡の碑」もある。この場所は東海道の要路にあたり、且つ、京橋川という水運の便の良さから北側の紺屋町に野菜の市場が生まれ、ことさら大根の入荷が多かったためにこの名となった。石碑を読めば、昭和10年2月に東京市中央卸売市場の創設や国家の要請により、築地に移転した旨も読み解くことができる。その力強い文章から、ここが江戸で栄えた市場であったという誇りを私は感じた。
先程、さらっと京橋川と書いたが、首都高速道路が通っている真下がまさにその場所である。京橋川は埋め立てられ川の上には建物ができ、さらにその上に車が走っているのである。現代地図と江戸地図を見比べれば分かりやすいだろう。
現代地図1
江戸地図1
川べりを歩く、銀座三原通り
銀座・京橋の間だけでもうずいぶん楽しんでしまったが、銀座の裏通りを歩いていこう。
今回歩くのは中央通りから二通り東側に入った路地である銀座三原通りだ。ここは江戸時代の三十間川のすぐ横にあたる。
現代地図2
江戸地図2
平成元年度(1989年)に愛称名が設定された銀座三原通り。※1
昭和を感じるビルもあり、昭和生まれとしては落ち着き居心地がいい。昭和生まれの性かもしれないが、真新しく最新のオシャレなビルばかりでは、どうも落ち着かない。オシャレで若者を対象としている場所は、ちょっと気が引けるものである。すくなくても私は。
さて路地を進むとアンティークな佇まいのビルに目が留まる。
調べてみると建築物としての価値と、レトロな雰囲気を今に残すビルとして知られているビルであった。月日がたつほど味わいを増した俳優のような堂々とした佇まいは、人を惹き付ける何かがあるのだろうか。
近づいて外壁を観察してみる。これはコンクリートなのだろうか。これひとつとってもアートのような美しいデザインの外壁に魅了されてしまう。
美しい外壁が気になり始めると、今度は通りの地面まで気になってきてしまうから、こうなるともうマニアックな世界へのスイッチオン。
ふと地面を眺めれば、2つのブロックを1セットにして4つ組み合わせたものをさらに組み合わせてあり・・じっと見ているとアートのようにも見えてくるし、数学のようにも見えてくるし、何よりこのブロックを敷き詰めた人がすごいではないか。
しばらく下を向きながら歩くと、新しいブロック模様が。メガネのようでもあり道路標識のようでもあり、なぜこのようなブロック模様にしたのか、ぜひ知りたい。
スタート早々、新しい興味の素(もと)を見つけた銀座さんぽ。下を向いてぐるぐるしていてなかなか歩が進まない。来週はもっとマニアックになりそうだ。
楽しみは自分で見つけ、育てる
東京・銀座のさんぽはちょっとマニアックなスタートである。思いがけない史跡が、ふだんの道にあると知らずに通り過ぎている人も多いだろう。(路面のブロックなど気にする人はごくわずかだと思うが。)
ふだん通る道、ふだん会う人、ふだん行く店・・。ふだんの暮らしも見る目を変えればきっとささやかな発見はあるものだ。ささやかな発見をするほど、きっともっと日常は楽しくなるだろう。
ささやかな日々の暮らしの中に楽しみを見つけ、その芽を育てていく。そんな楽しみを見つける力、育てる力が、きっとこれからを逞しく豊かに歩むためのヒントになる。
※1中央ホームページ中央区道路愛称名一覧(京橋地域)
https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kankyo/dorokyoryo/doroaisyomei/doroaisyokyobasi.html