おさんぽスポットとして人気の谷中。この街には誰もが古き良き昭和を感じるもの。谷中七福神めぐりの後半は、この谷中からスタートする。
むかしは富士山が見えた!?「布袋尊」
毘沙門天をまつっている天王寺からJR日暮里駅へ。左手には谷中銀座商店街に向かう御殿坂がある。坂を歩いた先は商店街に続く夕やけだんだん。お目当ての「布袋尊」はその手前を曲がるが、少し足をのばし谷中銀座商店街で食べ歩きをすることも谷中七福神めぐりの楽しみだろう。
「布袋尊」は富士見坂を下ったところにある修性院にまつられている。寺の塀に布袋尊が描かれているのですぐに分かる。
この布袋尊と子どもたちとの楽しそうな様子はほっこりさせてくれるもの。愛嬌のある布袋尊の笑顔は、道行く人みなへの笑顔のプレゼントのよう。私はこういう何気ないほっこりが大好きだ。
清楚で端正な「恵比寿」
布袋尊から青雲寺の恵比寿まではすぐ。このあたりに来ると車通りも少なく静かなもの。
個人的には、この青雲寺の佇まいはひときわ清楚で凛とした寺のように思う。
少し奥まったところにあるため、なおさらしんと静まり返っている。しかし地図をみればJR西日暮里駅のすぐ前、徒歩4分の場所にあるのだから驚きだ。
この佇まいは、二番目に回った大黒天の護国院とも似ているようでまた違う。私の感覚でいえばしなやかで柔らかな雰囲気のある寺、心にのこる寺のひとつである。
赤のインパクト!「赤紙仁王尊」と「福禄寿」
いよいよ七つめの神様は東覚寺の福禄寿である。青雲寺からの道のりは静かな住宅街を抜けるのだが、芥川龍之介にいわれのある場所や店が多く時間が許せば寄り道するのもおススメ。
さてもうすぐJR田端駅という手前にあるのが東覚寺である。到着するや否や目を奪われるのがこのビジュアル、二体の仁王像である。
これは福禄寿ではなく不動堂の前に立つ仁王像、「赤紙仁王尊」というそうだ。
近くの説明書きには「(略)この赤紙仁王は当時江戸市中に流行していた疫病を鎮めるため宗海上人が願主となって建立されたもので、いつのころからか赤紙(悪魔を焼除する火の色)を自分の患部と同じ個所に貼って病気身代わりと心身安穏を願うようになった」とある。
なるほど。江戸時代の疫病流行時の人々が強い願いは、2020年を体験した今だからこそその願いの強さを我がことのように感じる。
おっとっと。肝心の福禄寿は不動堂の横、東覚寺境内である。
こうして谷中七福神めぐりは完結!パチパチパチ。七福神はめぐればやはり達成感がある。
ルートによるがひとりで歩けば1時間30分。2,3人で歩けば2時間30分程度見込んでおくのが良いだろう。
この達成感と爽快感は1月というスタートにピッタリ。一度トライしてみよう。
心明るく歩んでいこう!
七福神めぐりは、めぐることで福を得られる日本古来のスタンプラリー。この七福神であなたは何を願うのだろうか?健康のこと、生活のこと、家庭や仕事や人間関係のことなど、きっとひとそれぞれ願いがあるもの。
この七福神めぐりは歩きながら心を整え祈ることで自分の願いを確認し叶える手順のようなもの。確認した願いを行動に移すための心構えのスタンプラリーと言えるかもしれない。
そう考えると七福神めぐりも、なかなか奥深い。
日常の少し先にある七福神めぐりを通して自分の願いを確認すれば、あとは一歩一歩前を向いて歩むのみ。
とにもかくにも2021年はスタートした。それぞれの願いがかたちになり良い年になるよう、心明るく歩んでいこう!