人と倫
叱るもの、叱ること、すべてが罪ではない。
人は叱りながら焦燥と不安に駆られて、生きる相手を癒しまた、自分をも励ます。
叱ることの意味を考えること、男の寂寥感がそこにあるのかも知れない。
人は叱りながら焦燥と不安に駆られて、生きる相手を癒しまた、自分をも励ます。
叱ることの意味を考えること、男の寂寥感がそこにあるのかも知れない。
開高 健
説く(1)
親心は、善なるものが出ていると思える。
ああなって欲しい、こうなって欲しくない、そう思って叱る。
世に出ても親心で叱っている人がいる。しかし叱られる方はなかなかそう思わない。
そこには大きな谷が横たわっている。埋められない、架けられない想いがある。
谷間を吹く風は、永遠に吹き続けるかも知れない。
叱る方には、一抹の淋しさがいつも残るのもそうした風の冷たさかも知れない。
ああなって欲しい、こうなって欲しくない、そう思って叱る。
世に出ても親心で叱っている人がいる。しかし叱られる方はなかなかそう思わない。
そこには大きな谷が横たわっている。埋められない、架けられない想いがある。
谷間を吹く風は、永遠に吹き続けるかも知れない。
叱る方には、一抹の淋しさがいつも残るのもそうした風の冷たさかも知れない。
説く(2)
叱ることほど難しいことはない。
親たる者、大人たる者、上司たる者。 誰しも好かれたい。 嫌われたくない。
良い人、善い人と思われて生きたい。
でも叱る。 大いに叱る。 思いっきり叱る。 叱るべくして叱る。
それには訳がある。
意味なく叱ることは愚かである。
叱られた者は、訳を知ることがあるだろうか。 あるいは 知ろうと考えたことがあるだろうか。
叱る者の悔恨の念は、そこにあるのではないだろうか。
親たる者、大人たる者、上司たる者。 誰しも好かれたい。 嫌われたくない。
良い人、善い人と思われて生きたい。
でも叱る。 大いに叱る。 思いっきり叱る。 叱るべくして叱る。
それには訳がある。
意味なく叱ることは愚かである。
叱られた者は、訳を知ることがあるだろうか。 あるいは 知ろうと考えたことがあるだろうか。
叱る者の悔恨の念は、そこにあるのではないだろうか。